資本の収益率 r > g 産出と所得の成長率
少し補足説明をしましょう。
世紀をまたいで存在する巨大資本(列強の少数の貴族階級)が、世界的な規模で投資を行い、その収益率は、スケールの大きさのメリットで、新興国などの紛争に絡みながら確実に年5%以上の収益を上げてきた。
それに対して、過去と最近の経済成長率は1%止まりなので、数十年も経てば、貧富の差は確実になり、取り返しの付かないレベルに達する。
戦前では、人口比において8%の巨大資本の承継者が富の7割を占めていた。大戦後富の再分配が為され平均化していたが、最近の統計によると戦前のレベルを超えて、独占が米国でも日本でも加速されつつあります。
それに押されて、低所得者の割合が増えており、一生懸命働いているにも拘らず、最低生活ができないとか、自宅を失って家族で路上生活者になってしまうような人々が増えている。
謂われなくても、これまでの仕事量を確保することが困難になっていたり、仕事の単価がひどく安くなって、生活が苦しくなっていることに気づいている人が多いことを感じ、自分自身も例外ではない。
資本主義や自由主義社会では、個人の欲望に依って経済は自然に成長に移行する。それを阻むのは、資源不足とか自然環境の劣化などであり、基本的に成長して過去から現在のレベルにまで到達した。
自由競争を放置すると、巨大資本の収益率が経済成長に飲み込まれてしまう恐れが有るので、資本家はそれを抑制するように演出する。
かつても今も、一番手っ取り早いのは、国家間の部族間の紛争で、その両方にそれぞれが肩入れしていずれかの勝者を得る。その挙句、勝者を国際的に認める条件として、敗者の債務の回収を約束させる。
約束した勝者は、国際的に正当な統治者として認められることになり、過激に投資された資本はめでたく回収できることになり、この収益率は莫大になり、巨大資本は衰えることを知らない。
先の大戦では、日本に債務を負わせることができなかった。そして日本では正当な承継者は、天皇の宣旨で可能となった。また、英国を乗り越えて、アメリカとソ連が主導権を握ったことも想定外だったのだろう。
其のかいあって、50年ほど富の再配分が行われた。 やがて、米国内に富の均衡を破り、ヨーロッパの資本家と同様に演出できる富豪が現れてきて、富豪の均衡が図られるようになった。
最近、日本で起こったこと、これから起きようとしていることは、イデオロギーと関係なく、富の偏在を加速させようとして、彼らが演出しているためであることに気づこうではないか。
経済成長率を抑えることに依って(return on investment) r > g (growth rate)が成り立つので、資本家はあらゆる手立てを使って、当事国の経済成長率を抑えこもうとする。
一番簡単な手法は、消費税を5%以下を小出しして上げていくことである。GDPは落ち込まず伸びず。結果として r > g は保たれる。
この仕組で得をするのは、8%の高額所得者だけであり、その他はGDPの4割の配分を92%ですることになり、其の中でも優劣がつき、富の偏在がないときに比べて、同じ働きで半分の所得となってしまうのである。
中流はまだ我慢できる。が、本来落ちこぼれる人々はかならずいる。その人達が受けるべき配分を、より豊かな者が横取りしていることを、同じ日本人として、貴方は許しておけるのだろうか。
私は、耐え難い。
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