イネの発芽(2)
寄り道シリーズ。
イネが発芽モードになると、胚芽が膨らみ始めます。
膨らみ始まる条件は、タネの温度が9℃を越えること。
水が供給されること、当然ながら酸素が有ること。地中に在っても水が供給されれば、水中の溶存酸素によって酸素が供給されます。
この条件下では、白米すなわち胚乳部では、加水分解酵素が胚乳に溶け込み、デンプンを加水分解してブドウ糖に変えていきます。
発芽モードになると、GABAが増量すること云われています。GABAとは、ガンマー・アミノ・酪酸γ(gamma)-aminobutyric acidの頭文字で、タンパク質が加水分解する時に出る匂いで、哺乳動物の生殖に関する臭いでもあります。
エロティックでもあり、臭いか匂いか好みの分かれるところです。
一説にはネズミなどが嫌う臭いで、タネ自身が身を守るために出しているという説があったり、そうした臭いだからその時の状態のタネは毒がある。みたいな説が囁かれているようですが、如何でしょう。
ワタシは、ネズミが嫌うのは哺乳肉食動物の臭いなので、ネズミが寄り付かない説を主張します。
ちなみに、苗箱の芽が3cmを越えるあたりから匂いがなくなるのか、ねずみが巣を作るために、夜な夜に侵入を試みるようになります。
従って、タネがネズミを避ける説には、信ぴょう性は高くありません。
何故そんな香りがするかといえば、「デンプンが加水分解してアミノ酸になる」=(物質が生命活動を開始する)球状タンパク質である酵素が活動を始めた証だと考えています。
すなわち、哺乳類の始まりの部分に酵素が関わっていて、それが穀物の発芽過程と同じ動作をしていることを、暗示しているのだと考えています。
このことは、もう少し先のイベントにて、お話しましょう。
そんなわけで、イネの催芽時には、妙なる香りがするのです。
イネの発芽過程は、日本酒の酒母いわゆる酛(酒に元)つくりの過程とおんなじ化学変化を起こしますので、百姓を細部まで紐解いてゆくとその先に日本酒造りが見えてもくるのです。
玄米でお酒を作りますと、この香りが薫りとなった酒が楽しめることになり、ワタシはまだ、玄米の酒は嗜んでおりませんが、何時かこの手で実現してみたいと夢を描いています。
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