無農薬で自給自足

 今年から、無農薬農業にジャンルに、米つくりを加えます。 冬季湛水にて自然豊かな田んぼにして、ほたるの居る田んぼを創ります。   誰でもが簡単に無農薬の田んぼつくりができるよう田んぼを用意し、定期的に実習教室を計画して、自給自足の米つくりを支援します。  武石川の源流のきれいな水で米つくりをしましょう。  宮 下   和 美 

月曜日, 12月 07, 2015

イネの種の仕組みは生命の仕組み

イネの発芽に至るプロセスは、

まず、種が水を含むところから始まる。
種が水に浸かっても、温度が低いと発芽しない。通常の種は土中にあるので含水率が低いからか、地温が15℃とか20℃位になると、発芽をするようだが、イネは7℃以上の積算温度に左右されれる。

積算水温度が90度日を超えると、胚芽が膨らんで芽が覗いてくる。
同時に根も伸び始めますが、十分な水環境がある場合は、芽が先に伸びます。

充分水を吸って積算温度に達していて、環境に水がない場合は根が先に伸びます。
イネを発芽前に水から出して土の環境においた時、すなわち苗箱に蒔くと、根が先に伸びて水を求める行動に移ります。

この時の苗箱を見ると、上に掛けた土が盛り上がって膨れたようになっています。
一方、水中にある場合には、根の役目は水を求めることなので、根は伸びずに、種の中にある胚乳のでんぷんを使って芽を伸ばし、芽が空気に触れると、水分の蒸発が始まりますので、刺激されて根が伸び始めます。

ちょうど、ヒトの子宮に着床するみたいに、大自然のイネの種はこのようにして大地に着根するのです。
この仕組は、ヒエもまた同じ仕組で成長しますので、田植え後のある程度の深水での栽培は、ヒエなどのイネ科の除草に役立てることができて、理論的には7cmの水深の場合には、ヒエは浮かんでしまうそうです。

水平の田んぼはあり得ず、何がしかの不陸はあるので、私は10cmを確保するために、12cmの水深を目指します。

このようにして私の圃場では、イネはみすぼらしいかもしれませんが、ヒエは生えないようになりました。


話を戻して、発芽に際して、デンプンをブドウ糖に変え、膨らんで生命活動を始めた、胚芽にブドウ糖を送ります。
胚芽の中心の成長点では、予め備わっていた予備の芽、第1葉、2葉と順次伸ばしていきます。

成長点では、転移酵素が活動を開始するのですが、それを促進させるのが、消化酵素によって休眠していた転移酵素のタンパク質が加水分解して、アミノ酸になり生命基を確保して活動を開始します。その臭いがGABA臭、生命が活動を始めた臭いが発生することから判ります。

GABAの語源は、ガンマーアミノブタンエイド(=ガンマーアミノ酪酸)γ(gamma)-aminobutyric acid 日本語で酪酸とは牛舎の臭い、ユーロッパではブタン臭だったのでしょう。哺乳動物の生殖系の臭いです。

これをネズミが嫌うというのには、理があります。大型肉食動物が近所にいいる証なので、近づかなかったことがネズミと云う種の保全に寄与したのでしょう。

恐竜やネズミ・蛇の目は総天然色であるのに対して、哺乳類は白黒の目です。

その生い立ちが昼目の活動の恐竜に対抗して、活動期を夜に求めたため、夜の解像度を高めるため、白黒判断目になっていることで、その生態の正否が判断の参考になるのです。

そんなことが、昨今において防犯カメラの解像度が、白黒画像の方が夜の犯人確認に格段の性能を発揮しているところからも、科学の凄さをかいまみる思いです。

話をイネに戻して、イネの発芽は、デンプンを消化酵素(加水分解酵素)の働きによりブドウ糖に、ブドウ糖を転移酵素(脱水縮合酵素)の働きで”生きたセルロース”に変えて、成長が始まります。

芽が水面から顔を出して、空気に触れると水が蒸発しますので、その刺激に依って根が伸びはじめて、本格的な成長が始まります。

お休みしていた種が、水を含んでいのちを与えられて動き出す。たった数ミリの種が成長のすべての原理を駆使して、動き出す、生命の奇跡がそこにあり、小さいけれど宇宙を感じる空間です。

このプロセス、デンプンが加水分解してブドウ糖には、日本酒の仕込みの第1段階、杜氏が気合入れて行ってることを、イネは水と温度だけで自然の中でやってのけてるのです。