自然田に挑む
変わった農法のため、みなさまの秩序を乱していること、誠に申し訳なく思い、まず以って、ここにお詫び申し上げます。
私は、一旦ふる里を捨てて、人の困ったことを解決する技を以って生業として、人生の大半を費やしてまいりましたが、還暦近くにふる里に戻ろうと村を見て、「これまでのやり方では農業が立ちいかず、荒らしておくことしかできない」ことを目の当たりにし、余生を以ってこれを解決するに使うことを心に誓いました。
ここにはご先祖が千年前から耕してきた田んぼがあります。
この田を蘇らすには、千年前にご先祖がしたと同じ方法を採用することだと、耕作放棄された田だけを借り、効率よい作業方法を目指して、それを復元すべく研究を重ねています。
当初、農業の参入には手厚い支援が受けられるとの触れ込みで始めたものですが、既存の農業形態と異なるためか、お上のご協力を仰げず、スタートからつまずいた独立独歩での挑戦となっています。
この試みを応援してくれているのは、地主さまや地域のみなさまと、丸子や上田の会社のみなさまが、意気に感じ私に仕事を与えて、資金を稼がして貰っているおかげです。
病気にならないだけではなく、食べた「お客さまが元気になる」お米を作ることで、売り先を確保することが可能となり、TPPが施行されても困らない農業形態が見いだせると考えております。
この試みが成功すれば、私たちの子孫も豊かな農業に未来を託すことができ、高冷地や東北の農村にも希望を与えることができるのではないか、との想いで「決して諦めない」ことを心に誓い「必ず成功させよう」と取り組んでいます。
古代の米作
その昔この里に米つくりが登ってきた時は、鉄の鉈やのこぎりや鍬や鎌のない時代です。
人力で用水路を開削し、石垣を積んで田の形を作り、原始林に火を掛けて燃やし、冬も水を張って、何千年もの大木を腐らせて取り除き、深水で大きな粒の米だけを発芽着根させて、稲作を成立させた結果、海抜千メートルの巣栗にまで古代の田の跡があるのです。
その昔の人が出来得たこと、自然と対立せずに大自然を受け入れて、自然の田んぼを創ることは、今の私たちにできない訳がありません。
昨年の失敗実験でだいぶ判ってきましたので、今年は胸突き八丁だと考え、必ずや、ここに豊かな自然の田んぼを蘇らそうと、想いを新たにした次第です。
今年も変わった方法によってコメを作りますが、どうか温かい目で見守っていただけますよう、お願い申し上げます。
宮下 和美
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