星の皇子さま、宇宙の王に立候補。
上田のお城の桜が咲いたというニュースと同じ日に、
隣の星の皇子さまが、『宇宙の王になる決心を為された。』と謂う記事が出ました。
私は、山蕗の薹を摘んで謁見に行ってきました。
星の皇子さまが、曰るに、
春とはいえ、外はまだ寒い風が吹いているのですが、お部屋ではポカポカと暖かい陽が射しているので、椅子に座ってお昼寝してましたら、カエルが目の無いヘビに乗ってやってきたのだそうです。
星の皇子さまは、ヘビはお好きではないのですが、ふたりの様子がおかしいので、お話を聞いてあげることにしました。
カエルが「申し上げます。」って言ってからお話するには、
「ニンゲンが田んぼに、除草剤やら殺虫剤という化学物質を撒くので、仲間がみんな死んでしまいました。」
「カエルはもう田んぼには住めないので、高い山に避難したカエルの一家とヘビの一家が、かろうじて生き残りました。」
「みんなで話し合って、星の皇子さまにお願いするためにやってきました。」
「ヘビに食べられてしまっても、家族が生き残るためには、どうしても星の皇子さまにお会いしなくては、と考えました。」
星の王子さまは、目の見えないいヘビにも、お尋ねになりました。
「どうしてカエルと一緒にやってきたの?」
ヘビが申し上げますに、
「星の皇子様に合う旅には、ヘビの知恵が必要なのですが、旅を終えて無事に帰るには、カエルの運が必要なのです。」
「カエルを食べてしまわないように、自分で炎の中に飛び込んで眼を焼いて、背中に乗せて、舵を執ってもらってやってきました。」
「どうして?」
って星の皇子さまがお尋ねになると、ヘビはからだをクネクネさせて言いました。
「このままだと、みんな死んでしまうので、カエル断ちを約束するために、自分で眼を焼きました。」
星の皇子さまは、二人の勇気に感心されましたが、悲しい心になって、再び聞きました。
「どこの星なの?」
カエルがお答えするのには、
「銀河系、日本星です。」
と謂うような訳で、星の皇子さまは、宇宙の王になる決心をされたのです。
私は、王様になるのには選挙があって、それに勝つには仲間の推薦とか、お酒を飲ませなけりゃぁとか、そんな心配をしてしまうのです。
星の皇子さまは、そんなことは考えていませんでした。
カエルとヘビの住む日本の星を、ニンゲンが汚してしまったことを、ただ悲しんでおられるのです。
ニンゲンのことも、死んでしまったカエルやヘビのようになるのではと、心配しておられました。
私は、15歳で学にココロザシた頃、星の皇子さまと似たような心の持ち主でしたので、30歳で独立した頃には、『ヒトの為に生きるのだ。』と、真剣に考えて今日まで生きてきたように思っていました。
昨日、星の皇子さまのお話をお伺いして、『自分が完全に俗物になってしまっている。』ことに気づきました。
「一体、この37年間は何だったのだろう?」
結局、自分の体裁だけしか考えず、
「好き勝手に生きているだけではないだろうか?」
本当に、『ヒトの為だけに生き』ては居ないのです。
きょう一日、畑に居て出した結論は「まだ俗物でいよう。」
星の皇子さまの清々しさに気づき、改めて感動を呼び起こした一日でした。
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