モンゴリアン5(日輪の子)
父は、ひとつの戦いが終わると筑紫都督府から戻ってきた。
阿居王はナンジンを伴って馬にまたがり、阿蘇の平原を駆け西の山に登って時を過ごした。
ナンジン「なぜ、馬を食べるのですか?」
「馬は我が死ぬと新しい主を探すことなく、食べることを止めて死んでしまう。」
「放っておくと魂の行き場を失い、死ぬことを全うできない。魂を受け取ってやらねばならないのだ。」
「だから、馬の肉は焼いてはならず、生のままを食べるのだ。」
「日輪の子は、強くなければいけないので、強い肉は食べても良いが、弱い者の肉は食べてはならない。」
「弱き者を食べれば、明日の我は弱くなってしまうから、日輪の子ではなくなる。」
「弱い者を追いかけて遊ぶこともいけない。殺すこともいけない。魂が移ってしまうからだ。」
「戦いが終わったら大地に埋めて、魂がその者と共にいつもあるようにしてやらなばならない。」
「馬を降りて狩りをすれば、我より弱き者を狩るようになり、それは食べてはならない者になってしまう。」
「強き者の魂は滅びるわけではなく、我の身になりて我の中に魂を移して、彼が本来生きる分だけ生きることができる。」
「だから、血・肉・内蔵すべてを無駄なく食べるのだ。」
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